William Tyler Olcott著 "In Starland with a Three-inch Telescope"の紹介

   

上記の左側はreproduction版の表紙。右側は1909年当時のもの。
本の中身の様子は下記を参照して下さい;
http://www.cloudynights.com/item.php?item_id=1944


今から約100年前の20世紀初頭(1909年)に出版されたWilliam Tyler Olcott(注)著の

"In Starland with a Three-inch Telescope"は3インチ望遠鏡による天体観測ガイドの

古典ともいえる有名な本です。特に二重星が詳しく336個の二重星が載っています。

当時、二重星の観測が盛んだったことがこの本からも分かります。

(注)William Tyler Olcott(1873-1936)はアメリカの法律家でアマチュア天文家。
   アメリカ変光星観測協会(AAVSO)を設立した。


この本の構成は、春の星座、夏の星座、秋の星座、冬の星座の順で各星座のの3インチクラス

で見える天体の紹介(見え方など)です。星座毎に、見開きで右頁に星図、左頁に

主な二重星の表と天体の見え方などの説明となっています。各説明文は簡潔です。

また、四季の星座の後に、月と惑星のガイドが載っています。

P.32のアンタレスの説明を参考に紹介します;

「Antares has a companion of 7 1/2 magnitude, distant 3", angle 270°, green color.

 Proctor says a larger glass than a four-inch is required to split it.(アンタレスは離角

3秒、位置角270°のところに7.5等の緑色の伴星を持っています。プロクターは、

それを分離するためには4インチより大きな望遠鏡が必要であると言っています。」

→伴星の光度が現在のデータとは違っています。

(補足)Olcottの使用した望遠鏡について
Neil English著のClassic Telescopes第3章に、Olcottが1893年に作られたAlvan Clark & Sons
の望遠鏡を使用していた、とあります。